uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

【感染症】Aspergillus (アスペルギルス)症の顕微鏡画像

透析患者さん外耳道内から採取された検体です。真菌塊(真菌球)が見られたのですが、Aspergillus (アスペルギルス)感染だと診断可能な組織像が見られたので掲載しておきます。アスペルギルスは糸状菌の一種で、Y字型の鋭角な分岐が見られる・菌糸の幅が一定でくびれがない・隔壁を有するなどが特徴とされますが、実際にはCandida (カンジダ)との鑑別であってもなかなか断定するのは難しいことが多いと思われます。
※カンジダは酵母様真菌であり、酵母・くびれをもつ仮性菌糸などが特徴です。

以下、Grocott染色(2枚)
分生子頭(ほうきの頭のような形をしています)から多数の分生子が連続して認められます。

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 教科書では分生子頭 (conidial head )として掲載されている写真を見たことはありますが、実際には稀にしかみることがありません。

 

 

以下、PAS染色(2枚)

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↑PAS染色だととくに分生子の膜が顆粒状に描出され、よりくっきりと認識されます。

 

どうでしょうか、実際に見ることは稀でしょうが、非常に特徴的なのできっと「あ、これなんとかいうやつだ(分生子頭?アスペルギルスだっけ?)」と思い出せるはずです。

 

【前立腺】放射線治療後の前立腺組織像

前立腺癌に対しては放射線治療が行われることがあります。IMRTなどの外照射・小線源治療などの内照射・ほかにも粒子線治療など多岐にわたります。放射線照射後の前立腺組織はみる機会は多くありませんのでここで提示しておきます。

HEです

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二相性の不明瞭な小型腺管が散在しており、よく見ると核小体をともなう核腫大を認めます。

34βE12

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免疫染色ではいずれの腺管も基底細胞マーカー陽性であり、これは癌の残存ではなく治療による非腫瘍性腺管の萎縮と核所見の変化と考えられます。

次は間質の変化にも注目します

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視野の下のほうにみられるのは通常みられる線維筋性間質(fibromuscular stroma)ですが、帯状に硝子化が見られます。間質の構造がべったりとしており細胞成分も疎になっていることがわかります。

写真が多くなりますが

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やはり癌ではないのですが、腫瘍腺管のように不規則な構築をしめす基底細胞単一からなる腺管がみられます。赤血球の漏出像や索状の腺も見られます。ぱっと見た感じでは悪性のようにみえるのが注意点です。

 

最後にもう一枚とってあったので、おまけです

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放射線治療後は核の腫大と核小体が目立つ基底細胞からなる一層の腺管がみられるが癌の残存と誤認しないよう注意です。

 

 

【精巣】Sertoli cell only syndrome

精巣から採取された検体です。精細管内には単一のSertoli cellしか見ることができません。同細胞は明瞭な核小体を1つ有するのが特徴です。精子形成の各段階のgerm cellsが含まれず、造精機能障害となります。男性不妊症症例。なお精巣における造精機能を評価するためにJohnsen's scoreをつけることがありますが(1~10で10が最も良い)、Sertoli cell only の場合は score 2になります。

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【前立腺】BCG注入療法後にみられる肉芽腫性前立腺炎

膀胱癌の治療として膀胱内へのBCG注入療法がなされることがあります。CISに対する治療目的やTURBT後の再発予防目的ですね。
治療にともない男性の場合はPSA上昇がみられることもあり、前立腺癌の除外のために生検されることがあります。膀胱内への薬剤注入ですが前立腺での炎症を惹起してしまうということです。臨床経過として「膀胱癌に対するTURBTのちにBCG注入歴あり、PSA〇〇と高値のために針生検を施行しました」などと書いてくれていることがほとんどですが、臨床情報が乏しいと戸惑う可能性もあるかもしれません。

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胃底腺ポリープ hyperplastic polyp, fundic type

過形成性ポリープの胃底腺型です。

全く珍しくないものですが、載せておきます。

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腺窩上皮にも過形成性変化が見られるような気がしますが、基本は胃底腺の過形成。

嚢胞状の拡張を伴うことが多いです。

これがある人にはピロリ菌(Helicobacter pylori)はいないようです。

【自作】 スマホ用顕微鏡写真撮影アダプター

以前の記事で「スマホで顕微鏡写真をとる」というテーマを書きました。

何も道具は使わずに手だけで撮影できるという内容で、
実際そのやり方でずっとミクロ画像を撮影してきました。

しかし、撮りたいと思ったときの顕微鏡に室内光が映り込んだり、自分の調子が
悪くて手ぶれしてしまうこともありました。

そこで今回、自作で「顕微鏡写真撮影用のアダプター」を作成することに。

目的は「手振れせずピントがあう」「光が映りこまない」です。

作成手順は
①15mmの厚みの材質をチョイス
②スマホのカメラをあてがう部分に適当な大きさの穴を作成する

とりあえず作成してみたのは「木材」と「ポリスチレンボード」
木材は昔ダイソーで買った木のブロック(8個で100円, 60x30x15mm)。
ポリスチレンボードも昔ダイソーで買ったカラーボード(厚み5mm)。

撮影穴はスマホを使用して計測しつつ、顕微鏡側は25mm径、スマホ側は15mm径と
することに決定。

木材は径25mm/15mmとなるように円錐形に削りだし(子供に借りた彫刻刀で1hほどの作業)。
ボードはそれぞれ25mm/20mm/15mmの穴をカッターでくりぬいてボンドで接着(なんだかんだ1hほど)。

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(↑小さい方がスマホ側で大きいほうが顕微鏡側になります)

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(↑カッターでの穴あけがいまいちながら実用に問題なし. 5mm×3枚で15mm厚)

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(↑木の方は小さいので単眼にあてがう。ボードの方は両眼にあてがうので安定する)

素人の工作なので、クオリティーにはちょっと問題がありますが、使用感はなかなか良好。なによりコスト的に実質10円ちょいで作れてしまうのが利点ですね。

カラーボードのほうが大きく(5x12cm)て片手であてがいやすい反面、穴の位置あわせや
耐久性にはやや難があります。
木材のほうは小さく(6x3cm)て顕微鏡にあてがうのがやりにくいけれども穴の位置あわせはやりやすく、耐久性には優位性があります。

カラーボードのほうは自宅用、木材の方はかばんに入れての持ち運び用としました。