uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

【前立腺】尿路上皮癌の前立腺導管内進展像

尿路上皮癌(膀胱癌の再発)が前立腺の導管内に進展する像です。

臨床的には膀胱癌に対してBCG膀胱内注入療法後に尿細胞診陽性が続くために精査されました。経尿道的に採取された「①前立腺部尿道」および「②経会陰的に針生検で採取された前立腺組織」です。膀胱多部位生検はすべて陰性でした。

①前立腺部尿道粘膜の嵌入した部分に癌細胞の増殖像が見られます。この組織像のみでは前立腺癌なのかUrothelial carcinomaの導管内進展か鑑別は難しそうです。

②針生検像: 既存の前立腺導管および腺房内に同様の癌細胞の増殖像が見られます。(右は34βE12染色)

②癌細胞と前立腺の基底細胞はいずれも34βE12陽性ですが、染色性が異なります。

②前立腺萎縮腺とともに管内進展を示す癌細胞が見られます

この症例で注意すべきなのはIDC-Pとの異同です。

ただし前立腺癌の充実性増殖像(Gleason pattern 5)が複数個所ですべて導管内に存在し、浸潤癌の成分がみられない可能性が稀であり、高分子量サイトケラチンである34βE12が陽性像を示していることも併せると、IDC-Pではなく尿路上皮癌と考えることが自然です。(通常、前立腺癌は34βE12が陰性、尿路上皮癌は陽性です。)

尿路上皮癌の前立腺導管内進展と診断する根拠としてさらに重要なことは臨床経過です。 

「膀胱癌の治療後で尿細胞診が陽性」である場合は上部尿路に癌があるのか、膀胱内にCISの残存病変があるのか、前立腺部尿道もしくは前立腺導管内に残存・進展病変があるのかを考慮します。

臨床医と情報を共有することが最重要であり、内視鏡像・MRI・RP・分腎尿細胞診などの臨床データと矛盾がないかを考えて総合的に診断がなされるべきです。