こんにちは。
今回は、私自身が「どっちがどうだっけ?」と混乱してしまいがちなこの二つについて記載しておきます。
それほど目にする頻度は高くないですが、急性陰嚢症をおこすこともあり、精巣固定術の際に採取されることがあります。また精巣腫瘍での除睾術・病理解剖などの際にも見かけます。
精巣垂 appendix testis
ミュラー管 (Müllerian ducts) の遺残組織。精巣上体頭部のすぐ下の部分の精巣白膜に付着。時に精巣と精巣上体の両方に付着します。
約80%の男性に見られ、そのうち1/3は両側性。
0.5~2.5cm大のポリープ状の組織で、組織学的に表層は立方上皮もしくは円柱上皮に被覆されます。円柱上皮は線毛を有することもあるようです。上皮細胞は絨毛状・管状構築をとります。間質は線維性で血管が豊富、平滑筋細胞もふくまれます。
それぞれ弱拡大と強拡大です。一部に嵌入による管状構造が見られます。
精巣上体垂 appendix epididymis
ウォルフ管(中腎管, mesonephric duct)の遺残組織。約25%の精巣に見られます。
たいていは嚢胞状の組織で、内腔には分泌物を容れることもあります。裏打ちする上皮は、立方上皮~低円柱上皮です。表面は単層~数層の扁平な上皮でおおわれます。
それぞれ弱拡大と強拡大を載せておきます。
精巣垂と精巣上体垂を並べてみると
(左)精巣垂は乳頭状、(右)精巣上体垂は嚢胞状です。
似て非なるものだとわかりますね。
※参考
以下書籍にはきれいな写真とともに詳しく説明がなされています。

- 作者: Stacey E Mills MD
- 出版社/メーカー: Lippincott Williams & Wilkins
- 発売日: 2012/09/03
- メディア: ハードカバー
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- 作者: Stacey E. Mills MD
- 出版社/メーカー: Lippincott Williams & Wilkins
- 発売日: 2006/09/29
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私が所持しているのは1つ古い版になりますが、組織学の本なのでずっと実用に耐える内容です。病理医必携の書のひとつだと思います。
それでは。