こんにちは。
泌尿器病理の病理組織画像を中心に病理医として経験した症例や気づいたことなどの記事やメモを書いています。
さて、病理を普段の仕事としている者にとっては、スライドガラスにマジックで字を書き入れたり、マーキングをしたり、番号を書いたりといったことは普通のことだと思います。
しかし、病理の仕事に携わっていない人からすると結構意外なのかもしれません。
遡って考えてみると、私も最初は標本に点とかつけてもいいの?と驚いた記憶があります。
癌だと思うところに黒マジックで点をうったり、囲むように点線を書き入れたり、、
まだ自分が研修中のときは上級医が病理診断を行うまえに、下見(診断の原案)を作成していましたが、そのときには所見のある場所に点を打つようにしていました。癌の脈管侵襲像だったり、T stage の根拠となる場所だったり、場合によっては「コレは何だろう」と思った場所だったり。
こういうことができるのは
「間違えてしまっても簡単に消すことができるから」
なんです。
方法
このように間違えてしまったときに消したい。
そんなときには ↓ コレを使います。
無水エタノールです。無水エタノールは病院なら検査室にあるはず。
ガーゼでもキムワイプでもティッシュでもいいので含ませて使いますが、わたしは自分用に購入しております。購入したときは小分けのスプレー容器がついているものがあったので、これを愛用しています。
使用例。無水エタノールをスプレーします。
スプレーしたところ。
下にはティッシュをひいておいたほうがいいでしょう
これをふき取ります
ひと拭きするだけできれいになります。
にじんだマジックインクが周りにつくことがあるので気をつけて。
2回ほどやればすっかりキレイな標本に戻ります。
購入先
amazonで販売されているのを見ると、

ガレージ・ゼロ 無水エタノール 50ml スプレー容器タイプ 【アルコール99.8vol%以上】(無水アルコール/油汚れ落とし/溶剤/洗浄剤)GZ807
- 出版社/メーカー: 株式会社ガレージ・ゼロ
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
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今はスプレー容器タイプが販売されているようです。次買うときはこちらかな。
容量が大きいのが良い場合はこちら。私が購入したときはハッカ油がついておらず、99.5%のタイプでした。 今回の用途だとこんなに多い量は要らないですが。
気をつける点
エタノールだとなんでもいいかと思ってはいけません。無水エタノールでないと消えません。
病院にはいたるところに消毒用のエタノールがあるかもしれません。
私は、、病理医のくせに間違って購入してしまいました。
消毒用のエタノールは80%くらいの濃度なんですよね。
これでは標本についたマジックが消えないのは実証済みです。
その他の用途
無水エタノールは洗浄の用途でも使えます。 かなり便利です。スプレーして拭き取るだけで、油脂を含むものはすぐにきれいになります。有機物なので当たり前ですが。高校のときに化学で習ったのを思い出しますね。
例えばスマートフォンやタブレットの画面、スプレーして拭いてみてください。新品のようにきれいになりますよ。
ほかに私が重宝しているのは、車のフロントガラスの曇り止めとしてです。雨の日なんかにフロントが良く曇るなと感じたら、それはフロントガラスの内側が汚れているから。無水エタノールをスプレーして拭いてあげると結構きれいになりますし、きれいなガラスは曇らなくなります。
話がずいぶんそれてしまいましたが、誰かの役に立つことがあればと思います。
それでは。