こんにちは。
「Histology for Pathologist」という本があります。病理の道に入ってから今までかなりお世話になっている組織学の本です。
我々は形態をみて正常からの隔たりを診断根拠にしているわけです。正常の組織像とはどんなものかというのはとても大事です。
膀胱粘膜は尿路上皮でおおわれているわけですが、この正常というのが結構幅があります。
上図の真ん中を横断するのが尿路上皮です。表面はアンブレラ細胞を見ることができます。細胞質が広く好酸性です。アンブレラの下にあるのが中間細胞で、小型の核と淡明な胞体を持ちますが、正常であっても少し核が大きかったり細胞質が好酸性だったりとバリエーションがあります。
正常の膀胱粘膜では、上皮の核の大きさは間質のリンパ球やfibroblastの核の大きさと同じくらいです(経験的に私がそう思っています)。
こちらも正常の膀胱粘膜上皮です。
真ん中を横断するように上皮が配列しています。左半分と右半分で厚みが違うようにみえますが、いわゆる切れ方の違いです。
粘膜面に対して垂直に薄切されているのが右半分で、粘膜面に水平方向に薄切されているのが左半分です。
左はアンブレラ細胞は表面にあるはず(被蓋細胞)なのですが、真ん中を横断しています。切れる方向のせいで、中間細胞→アンブレラ細胞→中間細胞の順番で並んでいるのですが、右半分と同じものなのです。
正常組織像についても順次掲載していきたいと思います。

- 作者: Stacey E Mills MD
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