こんにちは。
今回は膀胱固有筋層の組織像を載せておきます。
上はほぼ正常の粘膜上皮です。その下に粘膜固有層があり、下半分が固有筋層の一部です。消化管に見られるようにどの部位でも粘膜筋板があるというわけではありません。
このように筋板がなく固有筋層が存在することは良くあります。
固有筋層と粘膜筋板を見分けることは大事で、とくにTURで採取された標本では筋層が含まれているかという情報は病理診断の中に記載しておく必要があります。
上図のように「輪郭がまるい」のが固有筋層の特徴です。反対に筋板だと、細い束状の平滑筋細胞が見られますが、このような「パックされたような」厚みがありません。
こちらも固有筋層です。できれば輪郭を評価したいのですがTURだと細かい切片状ですのでわからないことも多いです。これくらい厚みがあって、密に平滑筋細胞がパックされているときは筋層と判断可能です。
粘膜固有層の間質組織であっても熱や変性が加わると好酸性が増しますので、誤って筋層と判断しないことが大切です。
また、膀胱の部位によっても形態が異なります。三角部や頚部はそのほかの部分にくらべて配列がやや不規則で一見厚みのある粘膜筋板のように見えます。実際筋板と連続して一体化していることも多いです。膀胱は尿の貯留状態によって容積がかわるため、膨らむ部分=伸展する部分では固有筋層は平滑筋が密にきれいに集まっており(パックされている)その輪郭がスムーズでまるいという特徴があります。
今後、わかりやすい例があればまたアップデートしていきます。

- 作者: Stacey E Mills MD
- 出版社/メーカー: Lippincott Williams & Wilkins
- 発売日: 2012/09/03
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログを見る