こんにちは。
日本人では頻度は少ないですが、たまに症例があるのでTNM分類をメモしておきます。
症例が少ないためか癌取扱い規約はありません。2016年のWHO classification に準じておきます。同書ではAJCC 7th edition (2010)を基にしています。
T分類
Tis ⇒ CIS
Ta ⇒ 非浸潤癌(verrucous carcinoma)
T1a ⇒ 間質浸潤 (LVIなし and 低分化や未分化でない)
T1b ⇒ 間質浸潤 (LVIあり or 低分化・未分化)
T2 ⇒ 海綿体浸潤あり (亀頭海綿体/尿道海綿体・陰茎海綿体)
T3 ⇒ 尿道浸潤
T4 ⇒ その他の隣接する部位に浸潤
N分類
N分類にはclinical と pathological があります。
N分類(clinical)
N0 ⇒ 鼠径リンパ節が触れない・腫大していない
N1 ⇒ 1個の(鼠径)リンパ節を触れる(可動性あり)
N2 ⇒ 複数もしくは両側性に鼠径リンパ節を触れる(可動性あり)
N3 ⇒ 可動性のない鼠径リンパ節腫大 or 骨盤内リンパ節腫大
N分類 (pathological)
pN0 ⇒ リンパ節転移なし
pN1 ⇒ 1個の鼠径リンパ節転移
pN2 ⇒ 複数もしくは両側の鼠径リンパ節転移
pN3 ⇒ 骨盤内リンパ節への転移、もしくはリンパ節外への進展
M分類
M0 ⇒ 転移なし
M1 ⇒ 転移あり
陰茎海綿体と亀頭海綿体の位置関係と組織像
陰茎海綿体はしっかりした膠原線維からなる白膜が取り巻いています。亀頭海綿体は亀頭部の粘膜直下にあり、尿道海綿体と連続する構造です。
英語では、
陰茎海綿体 = corpus cavernosum であり
亀頭海綿体・尿道海綿体 = corpus spongiosum です。
組織でみると
↑の左側に見えている上皮が包皮の内板。冠状溝を経由して向かいあった右側の部分が亀頭粘膜上皮になります。左画像は亀頭部であり、大部分は亀頭海綿体です。
右側の画像のうち左半分は亀頭海綿体ですが、右半分は白膜につつまれた陰茎海綿体を見ることができます。
拡大を上げてみたところです。亀頭海綿体(左画像)と陰茎海綿体(右画像)になります。
陰茎癌は大部分が包皮内板・亀頭部・冠状溝部分の粘膜発生であるといわれていますので、解剖学的な位置関係を把握しておくことは大事です。
また包皮が翻転できない phimosis (真性包茎) の症例では尿道が分かりづらく、とくに切り出しの際に解剖学的な位置関係の把握が重要となってきます。

- 作者: Holger Moch,Peter A. Humphrey,Thomas M. Ulbright,Victor E. Reuter
- 出版社/メーカー: World Health Organization
- 発売日: 2016/02/02
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